- 弁護士 田中克幸
不貞慰謝料と完全成功報酬
最近、不貞慰謝料請求事件で、完全成功報酬制の法律事務所が増えています。
完全成功報酬制だと、成功した場合のみ報酬が発生するので、ダメだった場合はタダ働きです。
一見依頼者に優しそうな制度ですが、不貞慰謝料請求事件では、少し注意が必要です。
【交渉が不利になる】
弁護士の交渉力は、かなりの部分が、交渉が決裂した場合に裁判を起こせることに依存しています。
相手が応じなければ、裁判を起こせばいいだけなので、それが相手を説得する根拠になるのです。
しかし、完全成功報酬制の場合でも、裁判をする場合には着手金を貰う法律事務所がほとんどです。
交渉相手からすれば、完全成功報酬制を選んだ時点で、最初に費用を払ってリスクを負担するのが嫌なのだろうと推測しますので、「どうぞ裁判してください」と言いやすくなってしまいます。
要するに、どうせ裁判しないだろうと、足元を見られる可能性が高いのですね。
完全成功報酬制の法律事務所は大々的に宣伝していますので、交渉相手にもバレバレです。
選択される場合には、上記のようなデメリットをよくご検討されてください。

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