- 弁護士 田中克幸
退職金は財産分与の対象になるの?
退職金は、他の財産と異なり、特殊な性格を持っています。
そのため、財産分与の対象とするかはケースバイケースで判断されます。
将来必ず支給されるとは限らない
退職金が支給されるのが何年も先の場合、会社がどうなっているか分かりません。
倒産倒産することもありますし、そうでなくても、業績が悪化して、退職金が支給されなくなる可能性もあります。
それなのに、財産分与の対象として、今払えというのは、必ずしも合理的とは言えません。
そこで、公務員や大企業の場合、または定年退職が近い場合など、支給の可能性が高い場合のみ、財産分与の対象とし、そうでない場合には、一部考慮するにとどめるという例があります。
すぐ現金化できない
退職金を財産分与の対象とされると、それをどうやって支払うかが問題になります。
退職金は遠い将来に貰う予定のものですので、今払えと言われても、現金化できません。
しかも、退職金は高額になることが多く、財産分与として、そのような支払いを強制することが合理的ではない場合もあります。
計算するのが難しい
退職金を財産分与の対象とするとしても、それがいくらなのか計算するのは簡単ではありません。
勤続年数に従って増えていくものですから、結婚(同居)期間中の退職金だけを財産分与の対象とする必要があります。それがいくらなのかを計算するのは簡単ではないでしょう。

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